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アースデイ2000 グリーングループへのメッセージ

 連絡所周辺では、アースデイ2000について、ちらほら意見が出始めていますが、アースデイ発祥の地、アメリカでも2000年に向けて動き始めています。今回は、アースデイの提唱者の一人、デニス・ヘイズ氏が全米の環境保護団体に送ったメッセージを紹介いたします。

 今から200年後、20世紀の最後の数十年を振り返るとき、人びとはこの新世紀の訪れと何を結び付るだろう。ポーラ・ジョーンズをはじめ、一面記事を飾り立てチャンネルを回す度に現れるニュースは、199年の間に忘れ去られてしまうに違いない。忘れられずに残るものは何だろうか。

 2200年までには、私たちが今「歴史的」と考える発展でさえ色褪せてしまうだろう。私たち(の年代の者)にとっても、明らかに政治的な一大事だった冷戦の終結も、今から200年後には、パリ平和条約が今持つ意味合いと同じ意味しか持たなくなることは想像に難くない。冷戦の終結というヨーロッパにおける大規模な政治的再編成。これが現在の生活に影響しているにもかかわらず、私たちは過去の出来事にあまり注意を払っていない。

 世紀の変わり目にあたり、今から2世紀後、人類の共通の記憶として他の何よりも際立つ事象が2つあると私は考えている。(1)文字どおり全地球を変えることができる人類の能力の発生、と(2)情報革命の始まりである。

(1)20世紀後半、地球史上初めて、一つの種が地球物理学的な能力を身につけた。200年前、アメリカ太平洋岸の原生林に住む原住民が地球に与えた影響は、シカやきのこよりも小さかった。現在、同地域の森林に対する人の介入は、セント・ヘレナの噴火による破壊を超え、氷河期の影響に匹敵する。

 気候変動やオゾン層の減少、海中・地上における種の多様性の崩壊、人口爆発、核兵器や生物兵器による恐ろしい脅威などについて、皆さんに対して今さら説明する必要はないだろう。2、3年前、一部の科学者が世界有数の大規模ダム88カ所に貯えられた数十兆トンの水圧が、地球の自転に影響を与えていることが計測された。もちろんこの影響は微少ではあったが、一つの種が、不注意にも、この惑星全体に関わる自転に影響を与えてしまったことに驚かざるを得ない!

 このことは、私たちが地球にどれだけの負荷を与えているかを証明する手がかりはないという意見に対して新たな影響を与えることになった。

 取り返しのつかない地球規模の惨禍を避けること、逆に健康的で、多様で、持続可能な明るい方向へと人類の発展を促すことは、私たちの世代にとって道義上当然の義務である。これだけ重要な使命があるために、現代の環境運動は「単なる一つの利益」以上のもっと大切なものとなる。

(2)私たちの世代でもう一つ記憶されるべき発展は、情報革命の誕生である。私がシアトルへ移住する前から、この情報革命の誕生が私たちの文化、価値観、政治、そして経済システムの細部にいたるまで影響を与え、これまでの農業革命と産業革命という2つの真の革命をしのぐ、本当の革命である。と確信していた。

 簡易なインフラしか必要としない廉価な通信技術によって、情報は光速で地球の裏側まで、途中で遮断されることなく送られる。コンピューターの性能は爆発的に飛躍している。私のノートパソコンは、宇宙飛行士を月へ送った当時に使用されていたNASAのどのコンピューターよりも、格段に優れている。情報革命は、人々が学び、ビジネスや政治のために集い、意見を述べる方法をすでに変え始めている。この革命は、地球規模における責任と同様に地球規模の意識を作り上げる初めての機会を人類にもたらしている。

 アースデイ2000(以下、ED2Kと略す)は、この2つの現象の核心に迫るといえる。ED2Kは一千年単位の変わり目という、このすばらしい機会をうまく活用するために、地球を動かすほどの最先端の情報技術を用いるだろう。

 ED2Kは、「一千年のテーマ」として多くのテーマを掲げ、それぞれに関わるポジティブな政策転換を奨励するだろう。アースデイのネットワークは、何千という団体と協力し、教育を受け、意識を持って活動する世界中の人々を、恒久的な変化をもたらすための活動へと結び付けることを約束する。そのモデルは、米国で行われ、大気浄化法や水質浄化法、アメリカ環境保護局の創設へと有機的につながっていったアースデイ1970である。

 現在、テーマとして次のようなものを考えている。

  • 自然システム(地上、海中)の保全
  • 京都からの出発:早急なエネルギー転換
  • 人口と消費
  • 住みやすい都市の創造
  • 健康と貧困と持続可能な農業
  • 大量破壊兵器世界の追放

各テーマのバックグラウンド

自然システムの保全

 世界の素晴らしい生物システムのほとんどが崩壊の状態にある。私たちはこれまで、短期の生産力を最大にするために、伐採、植林、トロール漁業などで傷ついたシステムを、多様で回復の早い自然システムへと変えてきた。この変革の速さは、まだ豊かな自然の残る地域のいくつかを、人の侵略から守るところまで力強くなっている。ED2Kは、このような努力を支援し、同じように海洋サンクチュルアリに対する世界の関心も高めるよう努力するだろう。

京都からの出発

 世界の環境問題の大部分は、無駄の多いエネルギー利用法と分別のないエネルギー源の選択が原因となっている。気候変動、石油流出、石炭の露天掘り、核廃棄物、プロトニウムの拡散、地上レベルのオゾン、硫酸微粒子、酸性雨、スモッグ等々。ED2Kは、京都議定書を実施する最善の方法として、再生可能エネルギー源の効率的利用を早急に実施するため、意識と情熱をもった市民を地球レベルで生み出していくであろう。

人口と消費

 例えばスウェーデンの人びとが現在享受している豊かさと同レベルの豊かさをすべての人が求めるならば、現在の世界人口はすでに地球の許容範囲をはるかに超えることとなる。この分野に於けるED2Kの核となる目標は、世界中すべての女性が(1)家庭の規模を決定できる情報と避妊へのアクセス件を持ち、(2)子どもを持つこと以外で、地位や自由、経済的安定を獲得できる教育の機会と成人としての選択肢を持つことである。

 北の世界では、不必要かつ使い捨てという無駄の多いデザインをされた商品のため、いたるところで不幸な社会問題、生態系上の問題が生じている。賢いデザイン、"スマート"な商品や『3R(削減、再使用、リサイクル)」によって、快適な生活のための必要なモノの量を劇的に削減することができる。

住みやすい都市の創造

 世界人口のほとんどが都市に集中しつつある。地球上の主要都市部のほとんどで、一般的な人口増加をはるかに超える速度での人口増加が見込まれている。サンパウロ、ニューデリー、北京、東京などでは、生活するための機能が維持できなくなり、不健康な場所となるだろう。理性的な都市のデザインや分別のある交通政策、小都市部の魅力を高めるための戦略によって、世界中につくられた都市は、私たちの孫を育てるためのより魅力的な場へと変わるだろう。

健康、貧困、持続可能な農業

 私たちと世界の忘れ去られた部分との格差は、気づかないうちに峡谷ほども深くなってしまった。世界で最も裕福な500人が世界人口を二分した貧しい側の全部の富以上を所有している。最も貧しい地域における環境悪化の現状は、悲惨という言葉を超えている。そこには避けることのできない伝染病や繰り返す飢餓、健康や人としての尊厳や希望を奪われた生活がある。

 私たちの国内においても、体内の分泌システムやその他の重要な身体の機能を破壊する可能性のある、新しい、実験の行われていない化学物質が氾濫している。私たちの農法は、世界のすばらしい農業システムの力を組織的に弱めている。ED2Kは、アジェンダ21を強化し、新しい化学物質が世界中に運ばれる前に立証責任を負うことを要求し、持続可能な農業経営が世界的に行われるよう、推進するだろう。

大量破壊兵器世界の追放

 冷戦はなくなったものの、地球環境に最も差し迫った危険である核兵器による大虐殺の
危険の除去については(もしあったとしても)ほとんど進展がみられない、尊重するに値するある説によれば、ロシアとウクライナの安全保障システムの劣化と大量破壊兵器の各国への普及で、世界はブレジネフ時代よりもさらに危険になっている、ということである。

 ある意味では、生物兵器は密かに開発され、強力な病原の拡散方向など探知が困難であるため、より一層危険といえる。イラクにおける兵器開発、日本のオウムによる地下鉄サリン事件、アメリカの世界貿易ビルの爆破事件はこのような危険に対する認識を高めてきた。

 核の廃絶に向けて真剣な進展がみられたかもしれない、また、良識ある政策によってその他の脆弱性が低減したかもしれない休戦状態が世界に訪れていた。大量破壊兵器に世界がこれほどまでお金を費やすことをやめれば、その他の目標を実現するために必要な資金を生み出すことができる。ED2Kは、この目的のために広く、国際的な支援を高めることを目標としている。

アースデイ・ハンドブック&アースデイ・アジェンダ

 アースデイ・ネットワークは、具体的な問題と具体的な解決方法を扱ったエッセイ(千字以下のもの)をまとめたブックレットを作成する予定である。傑出した著者を広く世界から集めて品よく書かれ、上記のような幅広い問題の一つ一つの側面について簡潔で常識的な解決方法を提供するだろう。

 この本は、(比較的薄くあることを期待するが)アースデイ・アジェンダを拡げた形となるだろう、(このアジェンダが神によって定められたものではないことを覚えておくことは非常に重要である。恐らく、誰一人として内容すべてに同意するものはいないだろうし、いくつかのアジェンダは、疑いなく、実用的というよりむしろ野心的な内容である。1970年、アースデイは、内燃エンジンを10年間で違法にしようと呼びかけた。世界平和と同じように、実現されればいいに違いない。しかし、双方とも政治的には受け入れ難いものだった。代わりに、私たちは、シエラクラブやUAW-全米自動車労組を含む大気浄化連合を通じ、できる限りの圧力をかけ、1970年大気浄化法を生み出した。この法律は明らかに私たちが意図したレベルには達しなかったが、自動車、電力会社、石炭、石油、製鉄業等の統一した反対を押し切った、驚くべき勝利であった。)

組織と早めの行動について

 アースデイ2000キャンペーンはシアトルから始まるだろう。私が会長兼業務執行役員となる。元上院議員のゲイロード・ネルソンが、創始者会長としてチームに参加している。ジョイス・テイツ・ウッドは、業務執行役員代理として1、2ヶ月前にイギリスからやってきた。アースデイ1990に国際関係の共同役員だったマーク・デュポア、そして1990年にボランティアのコーディネーターとして活躍したピーター・ドレクミアは、来月シアトルに移ってくる。私たちは、最新のウェブ・サイトを作るために、ソフト・ウェアの専門家を集め実行委員会をつくってきた。ライブラリー・ツリーを辞めてきたコン・ヌージェントは、彼が2年かけて作り上げた150人の著者を含む電子エッセイを持って、私たちの情報図書館を始めるにあたり今でも有用なものである。

 私たちは、アースデイ・地球共有のための宣伝評議会キャンペーンを、アメリカ公共交通連盟と協力して、公共広告をすべての情報媒体に行っていく予定である。このキャンペーンを通じて、バスや電車、キオスクなどに情報や資料提供を行い、AARP(全米退職者協会)からNAAC(全国黒人地位向上協会)やCARE(米国援助物資発送協会)、その他主要な宗教団体すべてを含む考えられる限り幅広いグループと協力して、これまで考えなかった人々までメッセージを伝えていくだろう。

 現在、全米で6万校の学校がアースデイのコーディネーターを指定している。私たちは、ED2Kのために少なくともこの数字を2倍にしていくだろう。アースデイ、4月22日にアメリカの民兵(ミリシア)によってコントロールされていない学校すべてで活動が行われることは間違いないだろう。(民兵がコントロールしている学校にも同じように働きかけていく)

趨勢

 わたしはED2Kがまさにあのレーガンの楽観主義のようになることさえ期待している。人類は今私たちの直面する問題を作り出してきた。しかし、私たちは何か違ったことをしようとする決断を下すことができる。エネルギー業界のように、時として反対側で戦う巨大な既得権益に出くわすことがある。アースデイの使命は私たちの側にいる一般市民に情報を提供し、動かしていくことである。

フォローアップ

 アメリカでは、アースデイ1970に続く数年の間に、環境保護局が設置され、大気浄化法、水質浄化法、種の保存法、労働安全衛生局、資源保全回復法、スーパーファンドといった今日の環境保護に役立つ多くの枠組みがつくられた。

 ED2Kに続いて、新しく重要な機会が現れるだろう。京都議定書の批准、ソーラー技術のコスト削減、カイロ人口会議アジェンダ(女性の地位の向上)、軍備拡大競争の縮小、21世紀の交通システムの構築、持続可能な農業の推進など。

 アースデイの役割は、教育的であることと意欲を高めることである。この役割は、重要な進展がみられるような状況づくりに役立つ。

 しかし、長期的に成功するかどうかは、あなたがた一人一人、そして世界中の同じような環境団体の一つ一つにかかっている。その人たちがアースデイ・アジェンダの一つでも実行し、またグループをその実現に向けていくことにかかっている。

 すぐ始めよう。具体的な提案の支持者を集めよう。アースデイのイベントを署名集めやサポートを得るために用いよう。地域の人に十分な情報を提供し、何かまじめな取り組みを行うことに意欲がわくようにし、議会の議員一人一人をそれずれ地域の公的会議に参加させよう。

 ともに働きかけることで、私たちは、今から200年後に人々が振り返ったとき、この千年の区切りを、この星に対する私たちの責務、という意味で真の転換期であったと思えることを確約することができるだろう。

デニス・ヘイズ

アースデイ・ネットワーク(EDN)

会長兼CEO(最高業務執行理事)

1998年4月2日

訳:菊地加納子

アースデイ記録集『1997〜1998』アースデイ◎1990←→2000◎日本・東京連絡所 発行


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